
2023年度のオープンキャンパスは対面開催となりました。実に4年ぶりの対面オープンキャンパスであり、多くの学生が初めて対面の運営を行いました。九大祭も人数制限なしで行われるなど、コロナ前の学生生活が戻ってきていると感じております。




2023年度のオープンキャンパスでは、オンライン企画と対面企画の両方を実施しました。オンラインコンテンツは、九州大学のウェブサイトにおいてご覧いただけます。対面企画は、2023年8月5日に実施されました。
同日午前中には、法学部説明会を実施しました。そこでは、学生が主体的に関与して制作された法学部紹介ビデオの上映や、模擬講義の実施を通じて、学生生活や法学部での学びを体験していただけるプログラムを用意しました。柳愛林准教授・川﨑邦宏准教授が司会を務められ、德本穰教授から歓迎の言葉が述べられました。法学部紹介ビデオは、オンライン視聴も可能ですが、当日は、このビデオのナレーターを務められた法学部生・山口佳乃さんによる解説付きで上映しました。そして、豊崎七絵教授・高橋雅人准教授による模擬講義においては、専門性の高い内容でありながら、受験生が目を輝かせながら受講されていた様子が印象的でした。寄せられた感想からも、大学における授業の面白さを存分に味わっていただける時間だったことが伺えます。受験生向け説明会と並行して、寺本振透教授による保護者・引率者向け講演も実施され、好評を博しました。
また、本学法学部のGlobal Vantageプログラム(GVプログラム)は、五十君麻里子教授の御指導・サポートの下、学生主体で企画を練り上げ充実したイベントを準備しました。GVプログラムは、グローバル・ローヤー育成のために2015年に創設されて以来発展を続けている独自の教育プログラムです。午前と午後それぞれの部において、Mark F enwick教授・李彦虎講師による英語での模擬講義が実施され、さらに、GVプログラム学生との交流会を通じてプログラムの特徴をより深く知る機会が設けられました。歴代のGVプログラム学生達が作り上げ、更新してきたオンラインコンテンツも力作揃いです。
午後には、キャンパスツアーや法学部教員・在学生との懇談会も実施されました。キャンパスツアーでは、石田侑矢助教・小園栄作助教のリーダーシップの下、45名の学生が、法学部生・八尋一修さんがデザインしたスタッフTシャツを身に着け、受験生を案内しました。ツアーの途中には、熊野直樹教授・岡﨑晴輝教授・山口道弘准教授・柳愛林准教授の研究室を訪問できるイベントも用意されていました。懇談会においても、在学生や教職員との交流を通じて、法学部の雰囲気をより身近に感じていただくことができたのではないかと思います。


オープンキャンパスの対面開催に、伊都が華やぎ、活気づきました。可能性に溢れる高校生を前に、法学の魅力を伝えたい、その思いで模擬授業を担当させていただきました。大学で憲法を考えることは、初等中等教育において日本国憲法を学習することとは違う、そのあり方を見てもらえたらと思いました。条文解釈の検討、歴史的に形成された規範の認識、社会的現実との緊張と対話、外国法の影響の検討、そしてそれらの理論化、そうした憲法学の営みを垣間見るなかで、法学教育の一端に触れていただければと。テーマは、憲法における政治の取扱いについて。立憲主義の理念の下、政治的権力の統制は憲法の目的であるにもかかわらず、「政治」概念それ自体は憲法典に存在しない。近代憲法は政治をどう扱ってきたのかという学説史から、現代日本の政治状況への憲法からの思考のあり方まで、熱気と目の輝きに刺激され、意気込みすぎたきらいはありますが、大変楽しく話をさせていただきました。ペンを手に皆さんも大変熱心に聴いてくださいました。来年度以降にまた、可能性を実現する新たな法学部生が意気込んで来て下さることを切に願っております。


オープンキャンパス当日は晴天に恵まれ、暑い中でもかなりの数の高校生の方々が参加してくださいました。午前中に行われた説明会では、大講義室を埋め尽くすほどの高校生や保護者の方々にご来場いただき、途中入場の対応が忙しかったことが印象に残っています。そして、来場された皆さんが、法学部の紹介や九大の先生方による模擬講義に熱心に耳を傾けていた様子が見られました。
午後は模擬講義と同時に在学生によるキャンパスツアーが行われました。キャンパスツアーではまず教室を出発し、図書館の見学に向かいました。図書館の建物の大きさや蔵書量に高校生の皆さんは圧倒されていたようで、キャンパスツアーに参加していない高校生の方が、早速本を取り出してソファーや自習用の机に向かう姿も目にしました。また、図書館の四階にある「きゅうとコモンズ」にて、ホワイトボードや個室の学習室の中で九大生が勉強を教え合う「ザ・大学生」らしい姿に、ツアーに参加した皆さんは目を輝かせていました。
図書館を出た後は、人社系の建物の中を通り、先生方の研究室を訪問しました。どこの研究室からも温かく迎えられ、先生方より研究についての説明や大学に入る前にやっておくべきことなどの貴重なお話を聞くことができました。
研究室から出た後は、教室に戻り、ツアーを案内した大学生と高校生の皆さんとの間で進路や受験勉強について質問をするような軽い雑談会が行われていました。私も実際に、高校生の皆さんと、受験勉強の仕方というよくある質問から、受験をする際のホテルはいつ頃に取るべきなのかという具体的な話にいたるまで様々な話をさせて頂きました。中にはお互い同じ県であったり、同じ学校出身であったりと話が盛り上がったグループもあり、全体的に和気藹々とした雰囲気でツアーの締めくくりを迎えました。
今回のオープンキャンパス全体を通じて私が実感したことは高校生の皆さんの「若さ」です。パンフレットが入った袋を片手で持ち、友達とどこに行くか話し合う姿は半年前の私も彼ら、彼女らと同じ高校生だったと思えないほどの活力に溢れていました。少年少女たちのエネルギッシュな姿がとても眩しかった一日でした。


2022年10月に着任しました、西村友海と申します。生まれてより大学院を出るまでの期間を東京で過ごし、大阪大学社会技術共創研究センターというところで科学技術の倫理的・法的・社会的課題(ELSI)についての研究に従事した後、本学に着任しました。
広い意味での専門は法哲学で、その中でも特に法解釈の問題を研究しています。元々は「良い法律答案とは?」という学生にありがちな疑問から出発したものでしたが、次第に「法解釈の客観性」という法哲学の古典的な問題に取り憑かれるようになり、研究の道に足を踏み入れました。今では、そこから派生する形で、法学と他の学術分野(特に情報科学)との関係性についても研究しています。こうした経緯から、九州大学では「法情報学」という科目を担当しているほか、法学部を含む人社系四部局によって運営される「人社系協働研究・教育コモンズ」において、研究と教育の両面における異分野同士の協働に向けた取組に携わっております(学生のみなさん向けの「人社系副専攻プログラム」は、この取組の代表例です)。
現在の九大法学部には異分野との協働に対して積極的な教員が多く、着任してこのかた様々な良い刺激を頂いております。こうした九大法学部の強みを学生にも伝え、他分野にも目を向けることのできる視野の広い学生を育てることに寄与できればと思っております。

はじめまして。本年度4月に法学研究院に着任しました、川﨑邦宏です。千葉県で生まれた後、東京の大学の法学部・法科大学院を卒業し、弁護士・会計士として国際M&A等の国際取引を含む企業法務・税務・会計に関わってきました。その後、研究者の道を志して東京大学大学院法学政治学研究科で博士号を取得しました。祖父母、両親ともに福岡県出身で、実家への帰省の際に福岡県を何度も訪れています。親族の多くが福岡県をはじめとする九州やその近隣県に住んでいますので、九州大学で奉職できることをとても嬉しく感じています。
専門は商法で、会社法と金融商品取引法を主たる研究対象としています。その際、経済学と会計学の研究成果、研究手法を取り入れながら研究しています。経済学と会計学は、商法研究の際に強力なツールとなりますが、同時に、弁護士・会計士としての実務経験に照らしても、会社・社会の発展のみならず、一個人としての生活にも大いに役立ちます。
学生の皆様への一言:学生の皆様が卒業後どの道に進むにしても、大学で学んだことは、卒業後に大いに役立つと思います。時間をかけて広く深く勉強する機会は、卒業後はほとんどないと思いますので、大学で一生懸命勉強して下さい。私自身も、大学・大学院で学んだことが卒業後に大いに役立ちましたので、九州大学でも皆様の卒業後に大いに役立つことを心がけて授業を行っていきたいと思います。

2023年4月に本学に着任した、柳愛林と申します。韓国の釜山出身です。高麗大学校政治外交学科を卒業した後、日本に留学、東京大学大学院を卒業しました。日本における西洋政治思想の受容を中心に政治思想史を研究しています。法学部では日本政治思想史の授業を担当しています。
今の大学3・4年生は知的成長やその喜びを周りと共にする機会を奪われているのではないか?それが、前期の授業を行った後の感想です。コロナ禍でほとんどの大学生活を過ごした学生たちは、モニター画面越しでしか人に接することができなかったでしょう。そのため、授業中の自由な議論や休憩時間のおしゃべりを通じて「自分が知っていること」「知らないこと」や知的想像力を共有しづらかったと思います。大学という空間は学習を通じた自己陶冶の場であると同時に、知的交流の場でならなければいけません。学生同士ではもちろん、先生と学生の間でも一方的な知識のおしつけではなく「交流」がなされるべきだと思います。怠らず研究し、それを皆さんと共有し、共に成長していきたいです。
ワクワクしながら羽田空港から飛行機に乗り込みました。5月19日、九州大学法学部にて「ビジネスロイヤー」について講義を行う機会をいただきました。講義を通じて、法学部1年生の200の瞳がキラキラと輝いていた瞬間が何度もあり、非常に有意義な時間となりました。
講義の中で主に取り上げたのは、ビジネスロイヤーがどれだけ身近な存在であるかという点です。スマホアプリから通学の電車に至るまで、ビジネスロイヤーの影響は多様な社会の基盤となっています。また、ビジネスロイヤーが持つ魅力として、企業活動の支援を通じて国や地域の経済への貢献、そして、いつの時代も高いニーズが存在することを紹介し、「社会が学生の皆様を待っている」と伝えました。
私自身、得意な分野は限られており、成功しても、それは周囲の方々が環境を整えてくれた場合が大半です。しかし、努力は必要条件であるというメッセージも強調しました。
ビジネスロイヤーへの道は決して平坦ではありませんが、確実な努力と学びを重ねれば、夢の扉が開くと述べた瞬間、1年生200の瞳がこの日最も輝いていたように感じます。まるで、奈多海岸から眺める夏の玄界灘のような輝きでした。
素晴らしい機会を提供していただいた九州大学法学部、そして積極的に参加してくれた学生の皆様に、心から感謝を申し上げます。


九州大学法学部生の皆さん、その保護者の方々、初めまして。
私は、2020年3月に九州大学法学部を卒業、同年4月に九州大学法科大学院既習コースに進学、2022年3月に同コースを修了し、2022年度司法試験に総合1位(短答及び論文いずれも1位)で合格することができました。この度、法学部ニュースに執筆する機会を与えられましたので、気恥ずかしくはありますが、これまでの学生生活を振り返ってみたいと思います。
さて、私は中学生の頃から弁護士という職業に憧れを持っており、法学部に入学したのもそれが切っ掛けの一つでした。
とはいえ、学部時代から司法試験に特化した勉強をしていたわけではなく、さまざまな分野の授業を受けて知見を広めたり、基本書をじっくり読んで調べものをしたりしていました。また、ゼミでは遠藤歩先生にご指導いただき、最高裁民事判例を素材として、ゼミの仲間たちと議論する機会に恵まれました。これらの経験は、その後の学習の基礎となったように思います。
その後、ロースクールに進学しましたが、当初は、真面目に勉強して卒業すれば司法試験に合格できるだろう、という程度の認識しか持っていませんでした。しかし、必死に勉強して上位合格したという先輩の体験談を聞き、自分も決意を新たにして、ロースクールで良い成績をとる、2年目で予備試験に最終合格する、司法試験もできるだけ良い成績で合格する、という3つの目標を立てることにしました。
そのための勉強上の工夫として、新しい知識を得たときはその知識自体の理解にとどまらず答案にどう落とし込むかまで考えること、わからないことは自分で一応の結論まで出した上で教授や実務家の先生、先輩に聞いて解決すること、などを心がけるようにしました。
また、自分自身を律して一定の勉強量を確保しつつも、周囲の人を思い切り頼った勉強をしました。勉強している中で浮かんだ内容的な疑問はもちろん、おすすめの基本書や問題集を聞いたり、先輩が作ったノートをもらったりと、迷惑だと思われても構わないと思って(もちろん感謝の気持ちはいつも伝えてはいました)、何でも聞いていました。
最終的に当初の3つの目標をすべて達成することができたのは、九州大学法学部、法科大学院において、本当に沢山の方々に恵まれたからだと思います。
なお、司法試験合格後の2023年4月には、石橋達朗総長から成績優秀者表彰を行っていただきました。表彰式の実現にご尽力いただきました山下昇法科大学院長、大脇成昭副院長にこの場を借りて御礼申し上げます。
現在、私は司法修習生として、1年間の研修を受けています。司法修習は、最初の1ヶ月は司法研修所で全員一緒に研修(導入修習)を受け、その後は全国各地で裁判修習(民事・刑事)、検察修習、弁護修習、選択修習(司法研修所や各実務庁が用意する様々なプログラムを受けたりする期間)の5つを周りながら約9 ヶ月過ごしたのち(実務修習)、再度司法研修所で研修(集合修習)を受け、最後に試験を受ける、という日程になっています。司法修習では、司法試験で勉強した学術的な理解を前提に、事実認定や、より実務的な手続きなどを学んでいきます。
司法修習を経験して、やはり法曹の世界は非常に面白く、大切な仕事だと感じ、司法試験に合格できて本当に良かったと思っています。法学部生の皆さんも、ぜひ進路の一つとして法曹三者を視野に入れてもらえたら嬉しいです。すでに法曹を目指している皆さんは、大変なこともたくさんあるかと思いますが、苦しい勉強を乗り越えた先にはやりがいのある仕事が待っているので、ぜひ頑張ってください。
総長表彰式の様子。前列向かって左から山下法科大学院長、石橋総長、筆者。後列左から2番目德本法学部長、3番目遠藤教授。


8月21日から22日にかけて、九重共同研修所・九大山の家において、野澤ゼミと井上ゼミで「九大刑法合同ゼミ合宿」を実施した。コロナ禍でここ数年間、中断していたため、久しぶりの開催である。
この合宿のメインは、それぞれの教員が担当する各3時間の「刑法演習」である。1日目は、誤想過剰防衛・誤想過剰避難に関するオリジナルの事例問題(井上担当)を素材に、2日目は、罪数論を中心としたオリジナルの事例問題(野澤教授担当)を素材に、双方向授業が展開された。いずれも、普段の授業では十分に扱いきれない重要テーマについて、たっぷり時間をかけて深掘りするもので、参加者の皆さんには、刑法学の深淵を覗くよい機会になったのではなかろうか。
楽しくなければゼミではない。「よく学び、よく遊ぶ」。BBQや源泉掛け流しの温泉を堪能し、懇親会で杯を交わしながら、教員と学生の垣根を越えて大いに語り合った。刑法の論点に関する質問、司法試験の勉強法といった真面目なものから、神戸の名物やフランスの観光スポットの紹介、オリックスバファローズの戦力分析、藤本博史監督の評価まで。特に、プロ野球談義は、いろいろなチームのファンが入り交じって盛り上がった。
参加者の皆さんにこのゼミ合宿に参加して面白かったと思っていただけたとすれば、企画した者としてはこれ以上の喜びはない。

私は8月21日から22日にかけて行われた、井上ゼミと野澤ゼミとの九大刑法合同ゼミ合宿に参加しました。授業のゼミ活動ではゼミ担当の先生から学ぶ事がほとんどですが、この合宿では普段教わることのできない先生からのご指導をいただき、大変貴重な2日間となりました。
合宿での学習内容は、先生方から事前に提示されていた事例問題についての問題演習でした。課題は、普段の授業やゼミでは扱うことのない内容で、私一人で検討した時には結論を出すのが難しいものでした。そこで、女子部屋ではメンバー全員が集まり、それぞれの教科書や判例集を持ち寄って様々な議論を行いました。その成果もあり、演習での理解度が一段と深まり、充実したものとなりました。また、演習内容はいずれも刑法における重要テーマであり、特に誤想防衛における故意犯の成否や罪数論における共罰的事後行為についての議論は、刑法全体に対する理解力を鍛えることに繋がったと感じています。
演習後は懇親会でBBQを行いました。BBQでは、先生方や先輩方、なかなか話す機会のない他のゼミ生らとフランクに話す機会をもつことができました。お互いの趣味を知り仲が深まっただけでなく、「その人ならでは」の視点を多くの人と共有することができ、刺激的な時間を過ごすことができました。
このゼミ合宿は私にとって大変良い経験になりました。企画してくださった先生方や先輩方に心から感謝申し上げます。







